『FXで収益が発生したら確定申告を忘れずに!サラリーマンは住民税に要注意!』
近年は政府による異次元緩和の結果、紙幣の供給量が増加し続けており、低金利の時代に突入しています。1990年代に約6%あった金利は、今ではほとんど0%に等しい為、かつてのように銀行預金にお金を預けて金利増やせる時代ではなくなりました。その為、銀行預金以外の投資先である株式投資、投資信託、FXなどの投資が活発化してきており、政府もNISAやiDecoなどの非課税口座を作り、国民に投資を促しています。今回はFXでの税金について、確定申告の方法を交えて記載致します。
〇FXで収益をいくら稼いだら、確定申告は必要なのか?
FXの利益は以下の2種類に分類されます。
・為替差益:為替の差によって得られた利益のこと
・スワップポイント:金利差によって得られる利益のこと
→日本円は世界でも有数の低金利なので、外国の通貨を購入するとほとんどの場合、スワップポイントによる利益を受けられます。
このどちらにも税金が課されます。税率は20.315%で内訳は、
・所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%
となっています。又、いくら収益をあげたら確定申告が必要なのかというと、
- サラリーマンであれば、年間収入が2,000万円以下で、給与所得以外の所得が20万円を超える方
- 専業主婦や無職の方で所得が38万円以下の方
- パート収入が65万円以下でFXの収入が38万円以下の方
これらの方は、確定申告が必要となるので、どれに該当するか確認しましょう。②と③に該当する方は、38万円以上の利益を出すと配偶者控除から外されてしまうので注意して下さい。ほとんどの方が①のサラリーマンで年間収入が2,000万円以下の給与所得者だと思いますが、この場合は、所得の年間金額が20万円以上の場合は確定申告が必要です。確定申告とは、1年間の所得を計上し、求めるべき税額を確定させることを意味しており、1月1日~12月31日までの期間での収益を税務署に申告します。受付期間は毎年2月16日~3月16日までとしており、実際に税務署で確定申告に行くと行列ができるのは恒例となっています。2019年度の確定申告の時期は、2月16日~4月16日までと1ヶ月延長しており、2020年度の確定申告の時期も延長する可能性があるので、税務署のHPをチェックしておきましょう。
〇FXの収益は、所得区分でどれにあたるか? 損失が出ていても確定申告すべき理由
税務署では以下のように所得を10種類に区分しています。
・利子所得:国債、社債、預貯金などの利子
・配当所得:株式配当など
・不動産所得:地代、家賃収入など
・事業所得:会社経営の収入など
・給与所得:サラリーマンの給料など
・退職所得:退職金など
・山林所得:山林を売却した所得
・譲渡所得:株式、土地を売却した際の収入
・一時所得:保険の返戻金など
・雑所得:上記以外の所得
これら10種類の区分の中で、FXは最後の雑所得に該当します。他には、年金、原稿料なども該当するので、副業で稼いでいる人は、ほとんどこの雑所得に該当すると考えてよいと言えます。
又、FXが他の副業と違う点は、源泉徴収される仕組みがない点です。株式投資で特定口座を開設して取引している場合は、証券会社が確定申告をしてくれるので、自動で処理されます。対してFXは、この手続きを自分でする必要があります。この為、確定申告をしないと「無申告加算税」、「延滞税」などの罰金が科せられる可能性があるので、忘れずに確定申告を行いましょう。
又、FXは損失が出ていても確定申告をするべきだと言えます。なぜかと言うと、税金を抑えることができるからです。具体的には、FXの利益は申告分離課税に該当し、同じく申告分離課税の対象となっている他の金融取引とFXで得た利益は損失通算可能な為、株式、商品先物で発生した損益と通算できるからです。この為、全体の収支がマイナスの場合、翌年以降3年間に渡って損失額を繰り越し控除することができます。損益通算可能な金融商品としては、CFD、商品先物、日経225先物、日経225先物ミニ、TOPIXオプション取引など、取引所取引の金融商品とも損益通算可能となりました。その為、FXと連動性の高い原油や金融商品先物で取引していた投資家にとっては、損益通算できることで節税できるチャンスが増えました。
さらにこの申告の際、FXでかかった費用を以下のように、差し引いて収入を申告することができます。
・申告額=収入―売買手数料、入金時振り込み手数料+相場分析、書籍代金など
この為、FXでかかった経費については領収書などを取っておき、どれくらい費用がかかっているのかは記録しておくべきだと言えますね。
〇FXの確定申告で注意するべき点 FX業者によって違いがあるので注意!
先ほど、FXの利益は2種類あるとお伝えしましたが、FX業者によっては、課税対象にならない場合もあるので注意して下さい。
・保有中で決済して利益が確定していない金額
→保有中で決済していない金額は課税対象になりません。
・スワップポイントはFX業者によっては課税対象になるかどうか違いがある
→例えば、DMMFXでは、未決済ポジションでは課税対象とならないのに対して、GMOクリック証券「FXネオ」の場合は、ポジションが未決済でも課税対象となります。
この為、自分が利用しているFX会社の確定申告の処理については、1度確認しておくべきだと言えますね。
〇FXの住民税の確定申告は少しでも利益が出たらやらなければならないので要注意!
これまで、所得税の確定申告について述べましたが、住民税の確定申告は金額の大少に関わらず、必ず行いましょう。これは、株式でも同じで、特定口座ではなく一般口座の場合は、自分で確定申告をすることになります。会社員にとっては、兼業禁止規定が就業規則で定められているところが未だ多いです。その為、会社の確定申告の際に、住民税の金額が大きくなっていることが判明し、副業がばれてしまう可能性があります。住民税の確定申告を自分で行うことで、会社の住民税の金額は大きくならないので、副業をしていることが発覚する可能性は大幅に減ります。
よって、FXで利益が少しでも出た場合は、利益から必要経費を差し引いた額を自分で計算し、住民税の確定申告は必ず行いましょう。収入が20万円を超えた場合は、併せて所得税の確定申告も行うという理解で問題ないと言えます。
〇確定申告の方法とは? オンラインで処理するのが一番正確で速い!
国税庁のHPの「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、ガイダンスに従って書類を作成するだけで、簡単に申請書を作成できます。こうして作成した書類をプリントアウトして、添付書類やマイナンバー書類のコピーなどとともに郵送すれば、確定申告の手続きは完了します。
又、「マイナンバー」に組み込まれている「公的個人認証サービス」に基づく電子証明書を取得しておけばより手軽にe-taxを利用することができます。e-taxとは、オンライン上で確定申告をすることができ、書類手続きなども不要なので、よりスムーズに確定申告をすることができます。e-tax利用の際には、専用のICカードリーダーが必要となるので、利用する前に購入しておくことをオススメします。
〇まとめ FXに限らず副業で収入が発生したら、確定申告を行いましょう!
FXに限らずどんな副業でも、収入が少しでも発生したら住民税の確定申告は必要となります。政府の成長戦略の方針は、兼業を推進する流れですが、会社での兼業禁止規定は未だ多くの会社で採用されており、齟齬がある状態です。今後の方針や政策に注視しながら、今のところは、会社に発覚しないように、副業を行う工夫が必要な時期だと言えます。もし不安な場合は税理士さんに相談するなども併せて行っても良いかもしれませんね。